外壁材、どれにしますか?
こんにちは!
雨が降ってしまい、外構工事ができないのでブログを書いている四つ葉工房の篠﨑です。
今日は家の第一印象の一番のポイントとなる外壁材について書こうと思います。
注文住宅で家を建てる際には必ず考えることの一つです。
形は間取りによっても左右されてしまいますが、外壁材の種類や色は最も好みがわかれるところであり、新築工事金額の内訳でもシェアが大きいので工事計画を組むうえでも重要な項目になります。
後々のメンテナンスコストまで考えるとかなりの金額になりますのでしっかり考えたいですね。
まずは主に使われる外壁の種類ですが
・窯業系サイディング
・金属サイディング
・モルタル塗り壁
・吹付け塗装
・ALC
・タイル、レンガ
・板張り
といったところでしょうか。
採用されている割合でみるとこんな具合らしいです。
ネットでお借りしております。
地域性や時代、統計を出している機関によっても若干ばらつきが出そうですが、個人的な感覚でいえば概ね合っているかなと思います。
今回はその中の窯業系サイディング、金属系サイディング、モルタル塗り壁、タイル、木の板張りについて少し掘り下げていきます。
はじめに
まず初めに、これから説明する外壁仕上げは一次防水です。
通常どのような外壁でも、仕上げ材の下に防水シートや防水テープを使い二次防水処理を施しています。
防水シートの耐久性などについては今回は省略しますが、一次防水が破られても二次防水で多少止めてくれるので即雨漏りにはならないということを覚えておいてください。(とはいえ二次防水で止めている状態は結構危険です)
窯業系サイディング
グラフにもあるように圧倒的なシェアを誇ります。
私自身、大工として過去にいろいろな家づくりに関わらせていただきましたが、思い返せば半分くらいは窯業系です。
有名なメーカーとしてはニチハさん、ケイミューさん、旭トステムさんなどがあり、各社とも一番の目玉商品として力を入れています。
サーファーズハウスによく使われるラップサイディングも窯業系の部類で、有名なのは東レさんです。
メリットとしては初期コストとデザインの豊富さにあります。
初期コストに関してはピンからキリの幅が外壁材の中で一番多いので最高級グレードにするとかなりの金額ですが、一般的には各社ともリーズナブルなフロント商品を持っていて、多くの工務店はそちらを標準仕様にしているところが多いようです。
デザインもタイル調、木目調、モノトーン調などかなりのラインナップがありますので最も万人受けしやすい外壁材と言えます
デメリットとしては表面の仕上げ材の劣化が金属やタイルに比べてやや早いことで、特に材料のつなぎ目や角部に施工しているコーキングの劣化は早いです。ただし窯業系でもグレードによっては板材やコーキングに15年や30年の保証を付けているものもあります。メーカーさんも常に研究、開発をしているのですね。
金属サイディング
こちらは近年多様なデザインの商品も出てきていますが、窯業系と比べるとデザインが限られてしまいます。しかし金属ならではの洗練されたスタイリッシュでシャープな仕上がりを出すことが出来ます。
コストとしては普及品の窯業系よりも少し高いイメージです。
よく聞く名前としてはアイジー工業さんのガルスパン、ビレクト ニチハさんのセンターサイディング ケイミューさんのはる一番などがあります。
外壁材の中では軽い方ですので耐震性は上がります。つなぎ部や角部に施工するコーキングの量も窯業系に比べると圧倒的に少ないのでそこからの雨水が侵入するリスクは軽減されます。表面の劣化も金属なので窯業系と比べて早くないです。
建物の重量と耐震の関係は、ボクシングで例えると階級が重くなるほどパンチが強くなると思ってもらえればわかりやすいと思います。強い力で揺さぶられるほど構造に負担がかかります。
よく「金属だから暑そう」という話も聞きます。確かに太陽光が当たっている場所の表面温度はかなり高いですが、今の木造住宅は構造と外壁材の間に空気が流れる通気層というものを設けますので室内に関してはそこまで影響は受けません。
モルタル塗り壁
歴史は古く、昔からさまざまな建築物に採用されています。近年いろいろな工法がありますが、オーソドックな工法は大工さんが木ずり(ラス下ということも)という材木を壁一面に張り、その上に左官屋さんが金網を張ってモルタル(砂とセメントを混ぜて水で練ったもの)で下塗りをした後に仕上げ材を塗って仕上げます。
仕上げもいろんな種類があり、ジョリパットはかなり有名なので聞いたことがあるという方も多いと思います。
メリットとしては耐火性が高いことと、外壁材の中で唯一、壁のつなぎ目がなく施工できるので美観が損なわれないという点が大きいと思います。模様(パターン)を付けることもできますし、平らに仕上げてマットな見た目を作ることも出来ます。
左官屋さんの腕任せになってしまいますが、世界で一つだけのオリジナルの外壁が作れるのも魅力ですね。興味のある方は相談して一緒に施工するのも面白いと思います。
デメリットとしては壁の重量が増えるので耐震性が若干不利になること、材料や施工の性質上、壁にヒビが入りやすいこと、模様や色によってはほこりや雨だれが目立つ、職人さんによって仕上がりや品質にばらつきがある、などがあります。
それと手間がかかるのでコストが高めです。
個人的には一番見た目は好きですが(^^♪
タイル張り
タイルは外壁材の中で圧倒的な耐久性、対候性を誇ります。経年変化もほとんど感じられないため美観が損なわれません。
見た目も重厚感が出せるものもあり高級感も出ます。
最近はあえて白系の細目のタイルでオシャレに見せてるお家もあったりしてカッコいいですね!
大部分を窯業系サイディングで玄関廻りなど一部をアクセントとしてタイルを使ったりしても映えますね。
圧倒的な存在感を持つタイルですが、お値段も抜群です。
家一棟まるまるタイルだと建物の形や材料の種類にもよりますが窯業系や金属系のサイディングと比べて2~3倍ほどコストアップになってしまいます。
それとタイルに関してネットなどを見ているとメンテナンスフリーを強調している記事をよく見ます。
個人的な意見では半分正解半分不正解です。
確かにタイル自体は抜群の耐久性を誇ります。おそらくその家が建っている間メンテナンスする必要はないでしょう。
ですがタイルを張るとつなぎ目(目地)ができます。またタイル自体は専用の接着剤で壁に付いています。
その目地部や接着剤自体はタイルほどの耐久性は持っていませんのでそちらのメンテナンスは必要になってくるかと思います。
実際にリフォームや修繕の依頼などで築20年くらいのタイル張りのお家に行かせていただくとタイル自体は全く問題がないのですが目地に亀裂が入っている箇所を見かけたりします。
木の板張り
写真の家は板を少し重ねて貼っている横張りですが、縦に張る方法もあります。
また木の表面に火を入れて炭化させ材木の表面の耐久性を良くした焼杉などはたまに見かけます。
木自体は簡単に燃えてしまうので耐火性能はものすごく悪く、防火地域などでは使えませんが重量が軽くなるので耐震性はアップします。
「木」自体は年数が経つと段々痩せていきますが古い神社などを見ればわかるようにしっかりと風通しができていれば長い間持たせることが出来ますので「木が一番メンテナンスフリーの外壁材」といわれる方もいます。
ですがその板を止める方法をしっかりしておかないと、必ずはがれてしまったりします。実際に固定している釘が浮いてきてしまっていたり、手で軽く引っ張っただけで簡単に外れてしまう現場を何回か見たことがあります。
タイル同様「素材」だけでなく『外壁材』として検討する必要があります。
経年変化がものすごく激しいので好き嫌いがすごく分かれるかと思います。
また性質上どうしても伸び、縮み、割れ、反り(曲がり)は出やすいです。隙間も大きくなりやすい傾向がありますので防水性を疑問視する方もいらっしゃいます。
まとめ
すべてではありませんが一通り簡単に説明してみました。
本当はそれぞれの材料をグラフ化すれば見やすくてわかりやすいかもしれませんが私にそこまでの能力はありませんのでご容赦ください( ;∀;)
ここまで読んでくださった方は『結局どれがいいのかわかんないじゃん』って思われると思います。
まさにその通りです。
どの材料でもノーメンテナンスということはありませんし、私自身家づくりにおいてコストが高いというのは大きなデメリットだと思っていますので、一概に高いから良いとは言えないと思っております。
正解がないことだからしっかりと調べて工務店さんやメーカーさん、あとはお財布と相談して納得できるものを選択してほしいと思います。
最後に超個人的な意見です。業界の人が見たら批判されるかもしれない話を…
よく聞く話で、家を建ててからかかるお金の話の一つにメンテナンスコストがあります。
高い仕様の外壁材推し(タイルなど)の方が比較材料として用意している資料ではなぜか窯業系サイディングなどは10年ごとに塗り替えていくというケースで話を進めます。
「一般的なサイディングだと10年に1回 足場、塗装代、コーキング打ち直しで〇〇万円かかり続けますが、外壁材に〇〇を使うと30年に1回で済みますのでトータルでは安く済みます」みたいな感じです。
間違っているとは言いませんし、もちろん定期的にしっかりとしたメンテナンスをしている方たちを否定する気は全くありません。
ですが窯業系サイディングなどの外壁材でも30年ノーメンテで雨漏りしていないという方は多いです。(気づいていないだけで多少の水の侵入はあるかもしれませんが)
10年に1回塗り替えれば、それはきれいなままでいられるかもしれませんが、絶対にやらなくてはいけないわけではないと思います。
ということで参考になれば幸いです。
では、また!