家が危険な場所にならないように
新年あけましておめでとうございます。
筑西市の工務店、四つ葉工房の篠﨑です。
本年も家づくりに役立つブログをちょこちょこ更新していきますのでよろしくお願い致します。
2024年は1月1日に皆さんのご存じのように能登半島で大震災が発生してしまいました。
亡くなられてしまった方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。
被災地の一日でも早い復興を心から願っています。
沢山の住宅が倒壊してしまった映像を見ていると本当に胸が痛みます。
地震による全半壊だけでなく、津波や火災による消失、また近隣の建築物の倒壊による被害など自然の力の恐ろしさを改めて感じます。
大震災の後はもちろん人命救助や支援物資の搬入などが最優先ですが、地域の方たちの生活が落ち着いてくると、様々な検証が行われます。
その一つが耐震性能です。
倒壊してしまった建物はなぜ壊れてしまったのか?またしっかり残った建物はなぜ倒壊しなかったのかを調査して、それがのちの家づくりに大きく活かされます。
大震災をきっかけにして耐震基準の見直しが行われることは過去に何回も行われてきました。
起きてしまった結果を無駄にせず次につなげることが、今生きている私たちにできることです。
以前のブログで家の「耐震性能は絶対に等級3」という事を書かせていただきました。
耐震等級を知らないという方は過去のブログをぜひご覧ください。
過去のブログ→耐震等級のススメ
ではなぜ耐震等級3が必要なのか?
それは大切な命だけでなく、その後の生活を守るために耐震等級3が必要だからです。
今回の能登半島の地震の検証はありませんので、まだ記憶に新しい熊本地震でのデータを参考にお話させていただきます。
上の表の赤字になっているのが耐震等級3の建物の結果です。
倒壊、全壊、大規模半壊が0% 半壊、一部損傷が12.5% そして無被害が調査件数のうち87.5%となっています。
耐震等級3で建ててある家は震災後にほとんどが修繕をしなくても、普通に住み続けることが出来るという事です。
また次の写真を見てみてください。
住宅Bは情報が見つかりませんでしたが、耐震等級3ではないと推測されます。
地震の時に、命は守れたかもしれませんが、こうなってしまっては少しくらい直したところで怖くて住めませんので、建て替えになってしまいます。
住宅Aは耐震等級2となっていますが、1階部分が完全に潰れてしまっています。
この時に1階にいたとしたら…
耐震等級3の家は家族の命を守るだけでなく、被災した後に以前の生活に早く戻るためにも絶対に必要です。
自然の力は時に想像を上回って襲ってくることがあります。
過去の震災で壊れてしまった家の建築会社がすべて手抜きだったなどとは思えません。
ですから今考えられる最悪なことを想定して、今の基準の中で最高な建物を造ることが絶対に必要です。
安心安全に勝るデザインはありません
デザインや仕様にこだわることは全く悪いことではありません。
ただしそれは安心安全をしっかり確保した上での話だと思います。
もし構造よりもデザイン優先にして大震災が起きて、形が歪んでしまったら、いくらデザインにこだわった家でもカッコ悪くなってしまいます。
予算は削らず、配分で調整しましょう
予算はとても大切です。しかし初めからある程度耐震に気を遣った設計ができている会社であれば、構造計算をして耐震等級3を取得するためのプラス費用は50万~100万程度だと思います。その予算はどこかで調整して工面できるはずです。
少しでも安くするために耐震性能を落としてしまい、それが原因で、大切な人が傷ついてしまったり、建て替えになってしまったりしては、安く家を建てられたとしても全く意味がありません。
まず一番初めにお金をかけるところは構造であるという事を意識し、それをベースに間取りや仕様を考えてください。
まとめ
今回の話でもまだまだ構造のことは伝えきれていません。
でも家を建てる人が学者並みの知識を付ける必要はあまりありません。
必要なのは、「家にとって構造は大切な家族を守るものだから、第一優先で考えなくてはならない」という意識を持っていただくことです。
そしてその思いを持って家づくりを行っている建築会社に依頼すれば良いのです。
災害には様々な種類があります。
洪水、土砂崩れ、落雷、地割れなどの他に、近隣の火災や崩落による巻き込まれなど、どんなにしっかり建てたとしても防げないことはたくさんあります。
でも建築会社側の責任で防げることもたくさんあります。
自分たちで創った家を地震では壊させないという想いで家づくりに邁進している建築会社は多く存在します。
冒頭でも触れましたが、今回の能登半島での震災の被害に遭われた方々に少しでも早く平穏な日常が訪れますように心からお祈りしております。