お知らせ

耐震補強の難しさ

こんにちは。

筑西市の工務店、四つ葉工房の篠﨑です。

最近久しぶりに体調を崩してしまいました。

そのタイミングで炎天下の屋外作業を一日行い、夏バテと合わさり、帰宅と同時に一気に悪化して熱が出ました。

それほど高熱ではなかったこともあってか、熱は一晩で無事に下がりましたが倦怠感がなかなか抜けません。

若い頃は風邪自体2年に1回くらいしかひかず、ひいても一日休めばピンピンしてましたが、35才を過ぎたころから風邪が長引くなあと実感するようになりました。

このブログを読んでくださっている方も同年代の方が多いかと思いますので(勝手な推測w)、どうか体調管理にはお気を付けください。

最近耐震関連の投稿が多くなってきていますが、とても大切なことですので、どうかお付き合いください。

今月上旬の事ですが、オストコーポレーション北関東の吉田さん主催、大竹工務店の大竹さん講師の「ウォールスタッドをじっくり学ぼう講座」に参加してきました。

30人以上の建築実務者が集まり、皆さん真剣に取り組んでおられました。
時間が経つのが早かった!

ウォールスタッドとは建物の情報を元に図面を入力し、それに過去の実際の地震波をかけてシミュレーションを行い、どのような揺れ方そして損傷の仕方をするのかを検証するソフトです。

今は無料版がWEBからダウンロードできるのでそれを使わせていただき、それを参加者全員で入力していくという実務に近い講座でした。

私は初めて使いましたが、構造図の入力自体は普段から図面を書いているのでさほど難しくなかったのですが、ソフトの独自ルールに合わせた横架材(梁や土台など、柱と直行して組んでいく構造材)の入力や耐力壁(耐震性能を上げるために配置される壁)や各種金物の入力配置を正確に図面に落とし込むことが少し難しいなと感じました。

新築リフォーム問わず、実物件に限りなく近い条件を再現できなければ、信用度は高くなりませんね。特にリフォームに関してはこれが難しくなります。

まず建物が古ければ古いほど正確な図面が残っておらず、残っていたとしても平面図と立面図くらいで、骨組みなどが記載されている構造図などはほぼありません。
では現地調査で調べようかと思っても、壁の中などは壊してみないと分からないことが沢山あり、提案段階では目視によって確認可能なところ以外は想定での入力になってしまいます。既存の損傷具合の判断も難しいので必ずしも正確に反映できるかと言われれば難しいですが、一つの目安としては充分すぎるほどの効果はあると思います。

後は地震波の設定です。

地震波にはたくさんの種類があり、必ずしも同じ方向からの力とは限りません。特に縦揺れに関してはどうするかで結果が大きく変わってきます。

ただし一度図面を入力してしまえば地震波の設定はさほど難しくありませんので何パターンか作ることは容易にできます。

講座当日は約3時間という時間の縛りがありましたのでモデル物件を入力して一度揺らしてみるというところまではできましたが、せっかく良いことを学ぶ機会に出会えたので忘れる前にもう少し深堀りしたいと思い、実際のお施主さんの建物ではないのですが、今私が参加しているプロジェクトの物件をモデルに作成してみました。

本当は動画で添付したかったのですが、諸事情によりスクリーンショットで並べていきます。

今回の地震波は阪神淡路大震災の1.5倍の強さで揺らしています。

なぜ1.5倍かというと弱い地盤に建物が建っていると想定しているからです。

1.5倍に設定することで軟弱地盤に近い結果検証ができるそうです。

揺らす前。まだ建物は正常です。
一発目の大きな揺れで損傷個所が表れ始めました。
色が濃くなるほど損傷が大きい箇所です。
大きな揺れに幾度か見舞われ1階部分の変形が大きくなってきています。
1階から潰れてしまい、2階も大きく変形しています。
上下階とも完全に潰れてしまいました

プロジェクトに一緒に参加している仲間の設計士に、この動画を見せたらやはりショックを受けていました。

今回の物件は正確な図面が存在せず目視による現場確認のみで、耐力壁や金物などは想定でしか入力できていません。屋根は耐震に有利な軽い屋根で設定しています。

また地震波も軟弱地盤を想定して阪神淡路の1.5倍に設定してありますので、少し条件としては安全側に見ています。

そして最大の問題はここからです。

これをお施主さんにどのように伝えるのか?

耐震改修には思っている以上にお金がかかるケースが多いです。

しかも断熱改修や水回りの改修のように住み心地や目に見える快適性はあまり感じられません。

講座の講師として登場した大竹さんもその点を非常に悩まれたそうです。

結果は出ている!ではどの程度まで耐えられる補強をすれば良いのか?費用はどこまでかけるべきか?

そこの折り合いをつけることが非常に難しかったと。

私も全くの同感でした。

新築の場合、許容応力度計算による耐震等級3+制震に構造材の劣化対策をきちんと行えば100%とは断言できませんが、ひとまずは安心できると思います。

ではリフォームはどうか?

予算的や諸事情により改修したくてもすることができない方がいた場合、結果をお見せするだけでは、ただ不安をあおってしまうだけなのではないか?

もちろん入力にミスがあった場合、判定結果に誤差が生まれますので、そこの精度も上げていかなければいけません。

今後の大きな課題です。

1つだけ確実に言えることはこれから新築を建てる人は、耐震性能の予算を削るべきではないということです。

限度はあるでしょうが、新築した家はほとんどの方が何十年も住む家です。
35才の時に終の住処として新築して、仮に80才まで生きたとしたら20年30年どころではありません。地震大国に住むのですから耐震性能は初めにしっかりと予算を掛けるべきだと思います。

最後に

個人的にはウォールスタッドは素晴らしいソフトだと思います。このソフトを無償で提供している開発者やそれらに関わっている方たちは、地震によって辛い思いをされる方を少しでも減らしたいという善意で広く普及させたいと思っていることだと思います。
おそらく今後も普及されていくソフトだと思いますが、そんなソフトだからこそ不安を煽り、下手な改修を無理やり進める業者さんが出てこないことを心から願います。

それでは、また(^^)/

🍀四つ葉工房は茨城県筑西市を中心に「高耐震、高気密、高断熱、高耐久、自然素材」をベースに「デザイン×性能×コスト」のバランスを重視した注文住宅やリフォーム、リノベーションといった家づくりを行っている工務店です🍀

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