ZEHは高性能なのか?
こんにちは。
筑西市の工務店、四つ葉工房の篠﨑です。
家づくりを検討し始めた方であればZEHというフレーズは聞いたことがあるかと思います。
また「ZEH=高性能」のようなイメージを持たれている人もいるかもしれません。
そこで今回はZEH=高性能なのかを、なるべく分かりやすく簡潔に話したいと思います。
そもそもZEHとは?
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称です。
意味としては、断熱や省エネで使うエネルギーを減らし、太陽光などによる創エネで創るエネルギーとの収支をゼロ以下にする家のことです。
ここで言うエネルギーは電気や石油のように、すぐ使えるように処理された二次エネルギーではなく、原油、石炭、天然ガスのような素材(一次エネルギー)での計算となります。
また使うエネルギーの中には、冷暖房機器や照明と言ったものは考慮されますが、家電製品や調理機器と言った生活エネルギーは含みません。おそらく住む人のスタイルや使用機器が多岐にわたり、各家庭で使用頻度が大きく異なることなので、計算ができないという事なのでしょう。
そして一番注意していただきたいのは、この計算収支はあくまでもエネルギー上の収支ですので、決して電気代がゼロになるという事ではないという事です。
大容量の太陽光パネルを載せればOK?
先ほど説明した通り、創エネ-消費エネ=±0以下になればZEHになりますので、大容量の太陽光発電システムを入れてしまえば、省エネ性能の悪い家でもZEHとなってしまいそうですが、そうはなりません。
ZEHは「省エネ」「断熱」「創エネ」の三本柱から成り立っていますのでそれぞれに基準が設けられています。
「省エネ」に関しては「一次エネルギーの削減率」
「断熱」に関しては「Ua値の基準」という条件を設けています。
そうして作られた家の消費エネルギーを上回るだけの「創エネ」設備があるのがZEHです。
一次エネルギーの削減率
基準となる一次エネルギー(分かりやすく消費エネルギー(電気ガス灯油など)と思ってもらってOKです)の値から20%以上の削減率を達成しないといけないというルールです。
主に給湯器の効率や節水節湯方法の選定、照明のLED化、エアコンなどの冷暖房機器の能力などを工夫して達成させることになります。
Ua値の基準
断熱性能についても最低限の基準が設けられており、こちらは地域によって基準値が違いますが、ご当地茨城県では下記の図で5地域もしくは6地域に該当しますのでUa値0.6以下(法改正による断熱等級5)となっております。
※Ua値とは平均外皮熱貫流率の略称で、屋根、壁、床、窓といった外気に面するところから外に逃げる熱量を示した値。値が小さい方が断熱性能が高い。外皮計算という計算方式で求める。
断熱性能が良ければ良いほど、冷暖房負荷は確実に減りますので、省エネにもなります。
ηAc値(夏季の日射取得率)も考慮されますが、今回は説明は省きます。
創エネの選定
創エネの条件は再生可能エネルギーでなくてはいけません。
太陽光、風力、水力、地熱といった自然エネルギーのことですが、住宅に関しては太陽光がメインです。
上記の「一次エネルギーの削減率」と「Ua値」を算出して必要以上の太陽光パネルを設置すればZEHとなります。
ではここからが本題!
ZEHは高性能なのか?について検証していきます。
ZEHは高性能なのか?
まず高性能住宅とは何でしょう?
高性能住宅のしっかりとした定義はありません。
「ウチは高性能住宅です」と言ってしまえば高性能住宅になります。
なのでここからは私見を交えてお話します。
まず私が考える高性能住宅は「何か一つだけ秀でていれば良い」という類のものではありません。
住まいにはバランスが大切です。
耐震のこと、断熱のこと、健康のこと、光熱費や維持管理費のことなど、挙げればたくさんのことがあり、それらすべてを総合的に考える必要があります。
例えば屋根いっぱいに太陽光パネルを設置するのであれば、屋根の荷重は大きくなりますので、耐震性にも考慮する必要がありますが、ZEHの要件には耐震性はありません。
またUa値と呼ばれる断熱性能ですが、先ほど茨城県では0.6以下と説明しましたが、昨年新設された断熱等級では等級5になりまして、最高である等級7から数えると、上から3番目、今の基準の最低ラインの等級4から数えると下から2番目です。
耐震もそうですが、建築基準法などの下限値は最低限です。これらを守っていればOKというものではありません。正直ZEH基準の等級5は最低基準ではありませんが、これから家づくりを行うのであれば、もう少し上の基準を目指した方が良いかと思います。
まだ分かりませんが、2030年にはZEHつまり今の断熱等級5が最低基準になる可能性がありますので、ZEHだから高性能と思っていた家が、建てて数年後には最低基準になってしまう可能性があります。
予算の関係もあるかと思いますが、耐震や断熱と言った要素は優先的にお金をかけるところであると思っていますので、豪華なキッチンやカッコいいデザインのために断熱や耐震を削ると言ったことはおススメできません。
まとめ
ZEHという考え方は家計にも環境にも優しく、とても素晴らしいことです。
当社でも基本的にはすべての新築に対してZEHでご提案しています。
ただし、ZEHの最低基準というものはとてもハードルが低く、それ以外の要素に関しては決まりがないので「この会社はZEHだから高性能なんだ」といった安易な思い込みはとても危険だと思い、今回ブログに書いてみました。
ちなみに当社のZEH基準は基準ギリギリではなく、2ランクくらい上の基準を設けています。
もちろんそれに合わせた耐震性、耐久性もしっかり考慮しております。
ぜひ検討中の会社があれば「ZEHです」のその先まで突っ込んだ質問をしてみてください。
今回は分かりやすく書いていますので、もっと詳しく知りたい方は直接お問い合わせ下さい。
それでは、また(^^)/
🍀四つ葉工房は茨城県筑西市を中心に「高耐震、高気密、高断熱、高耐久、自然素材」をベースに「デザイン×性能×コスト」のバランスを重視した注文住宅やリフォーム、リノベーションといった家づくりを行っている工務店です🍀